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見捨てられた教会?

エレイソン・コメンツ 第464回 (2016年6月4日)

絶望のどん底にあっては,

詩篇作者が救いを示してくれます. 神を信じ,祈りなさい.

今日,私たちの周囲のほとんどすべての物事や人々の混乱状態が日増しに深まり,教会内部ではすべての人々がいがみ合っているように見えます.だが,そのような中で,おそらく3千年も前に詩篇作者が,同じように神の敵(かたき・てき)の迫害に苦しむ人々を救ってくださるよう神に懇願(こんがん)したことを知れば,私たちは心強く感じるに違いありません.今と同じように当時,神の敵は傲慢(ごうまん)にも神に立ち向かい,その傲慢さは「日増しに増大し続け」,彼らはあらゆることをして神の神殿,その宗教を破壊し,神は彼らが大いに成功することを許されました.以下に紹介するのは詩篇・第73篇(邦訳聖書〈フェデリコ・バルバロ神父訳・講談社出版〉第74篇)です.最小限の注釈をイタリックで加えてあります.

A. 神は敵が御自身とその教会に勝つのをどのようにお許しになられたのでしょうか?

(1)ああ神よ,御身はなぜ我らを終局にいたるまで見捨てられたのでしょうか? 御身は,なぜ御身の牧場に群れる羊たちへの怒りに火をつけられたのでしょうか? (2)御身が初めから保持されてきた御身の聖会 (公教会/カトリック教会) ( “Thy congregation (Catholic Church) ” ) ( 訳注3・1 =〈御身の=神の〉信徒会・聖会〈=公教会/カトリック教会 〉・修道会 ) を思い起こしてください.御身が御救いになった遺産の王笏(おうしゃく= “sceptre” ) (訳注3・2) ,すなわち,御身が御住まいになったシオンの山 (公教会/カトリック教会) を思い起こしてください. (3)彼ら( 神の敵たち )に対し最後にいたるまで御身の御手を持ち上げてください.敵が(神の)聖域(=至聖所)で行った悪辣(あくらつ)なことをご覧になってください. (4)御身を嫌う彼らは,御身の尊厳を無視して自分たちの行いを自慢しました.彼らは自分たちの旗を自らのシンボルとして掲(かか)げました. (5)彼らは出口でも最上段 (神殿の諸々の門〈扉〉と高嶺の極み〈たかね の きわみ〉)( “Temple gates and summit” ) でも (神の神聖さ )( “the holiness of God” ) など知ろうとしませんでした.斧〈おの〉で森の木を切るように, (6)彼らはただちに神殿の諸々の門(扉)を斧と鉈(なた)で割り (第二バチカン公会議) ,神殿そのものを倒しました. (7)彼らは御身の聖域(=至聖所 “Thy sanctuary” )に放火し,この世における(地上の)御身の御名の住み家 (公教会/カトリック教会) を汚(けが)しました. (8)彼らは同類たちと一緒に,地上のあらゆる祝日 (公教会/カトリック教会典礼) を廃止しようと心の中で叫びました.(9)以来我らの諸々の証印(シンボル “signs” )は姿を消しました.今では預言者もいません.そして,神はもはや我らのことなど知ろうとなされません (神は諦〈あきら〉めてしまわれ,我らは独力で生きなければならない状態に置かれています ) . (10)ああ神よ,敵はいつまで恥辱〈ちじょく〉行為を続けるのでしょうか? 敵は御身の御名に永遠に挑(いど)み続けるのでしょうか? (11)御身はなぜ手を引かれるのでしょうか? なぜ御身は右手をいつまでも引き込めたままでおられるのでしょうか?

B. だが,神は救い,歴史,万物の主です.

(12)だが,神は古代以前から我らの王です.神はこの世での救いを引き受けてこられました.(13)御身(=神)は御身の御力で海をなだめられました (紅海横断 ) ,御身はドラゴン (エジプト人たち ) を海に沈められました.(14)御身はドラゴンの頭 (エジプト王) をお壊しになられました.御身は彼を肉としてエチオピア人の民に与えられました.(15)御身は泉や川を壊されました.御身はイーサン (「イーサンの川」=「激流」(の川)を意味する.たとえば旧約聖書・ヨシュアの書:第3章を参照) の川( “the Ethan rivers” ) を枯らしました. (訳注後記 B -1) (訳注後記 B -2 ) (訳注後記 B -3) . (16)御身は昼であられ夜であられます.御身は朝の光と太陽をお造りになりました.(17)御身はこの世のあらゆる境界を造られました.夏,春は御身の創造物です. (訳注後記 B -4)

C. ああ神よ,御身 の貧しい民を御忘れにならないでください.そして,御身の傲慢な敵を倒してください.

(18)このことを思い起こしてください.敵は主を咎(とが)め,愚かな民は御身の名声に挑みました.(19)御身に懺悔(ざんげ)する者たちを獣(けだもの)に落とし込まないでください.そして,御身の貧しい民たちの魂を最後まで忘れないでください.(20)御身の御約束 (新約聖書 ) に御配慮ください.この世でおぼつかない魂が邪悪の住み家にあふれているからです.(21)貧しい民たちを追い払って困らせないでください.貧しき民,愛に飢えた民は御身の御名を讃えるでしょう.(22)ああ神よ,立ち上がり,御身御自身への訴えを御裁きください.御身の叱責から愚かな民が御身の体面(面目)を傷つけてきたことを( 訳注5・1 ・「愚かな民が御身の体面(面目)を傷つけてきたことを」=「神を名誉を汚〈けが〉す・神に恥をかかせる・神の名誉を辱しめる・神の価値を低める」などの意味.)思い起こしてください.(23)御身の敵どもの声を御忘れにならないでください.御身を憎む彼らの傲慢さは日増しに増大します.

キリエ・エレイソン.

リチャード・ウィリアムソン司教

第4パラグラフ( B. ) の (訳注) (「アルノン川」と「ヨルダン川」=「イーサンの川」=激流の大河.)

・ 訳注 B -1 … 荒野の書:第21章13節

→「アルノン川」=死海に入る川でヨルダン川に次ぐ大きさである.

・ 訳注 B -2 … ヨシュアの書:第3章

→(説明)エジプトを脱出したイスラエルの民は40年間荒野を放浪した末,神の御計画で,前任の預言者モーゼの後を継いだヌンの子ヨシュアの指揮によってカナンの地に入る.

第3章では,「全地の支配者なる主」の「聖櫃(せいひつ)(= 〈訳注〉 「 『 神と〈預言者モーゼを代表する〉イスラエルの民との間で交わされた)契約』の箱(櫃)」)」(ヨシュアの書:第3章13節)を運ぶ祭司たちがイスラエルの民の先頭に立って,ヨルダン川の水に足をつける場面.

祭司たちがヨルダン川の水に足をつけると水は分かれて一かたまりになって止まり,民は乾いた所を渡ることが出来た.これは神なる主が起こされた不思議(奇跡)である.

「契約の櫃」を運ぶ祭司たちは,すべての民がヨルダン川を渡りきるまで,ヨルダン川の中央の乾いたところにじっと足を止め,そこを動かなかった.(後述を参照)

・ 訳注 B -3 … ヨシュアの書:第3章15節,16節,17節.

『 15 (契約の)櫃(ひつ)を運ぶ人々がヨルダン川に着き,祭司たちの足が水に触れると―― * ヨルダン川は刈り入れどきの間ずっと岸からあふれ出るほどの水があった――

16 水は止まった.川上から流れてくる水はアダムからザルタンの城壁にわたる広い地域に一かたまりになった止まり,アラバの海,つまり塩の海に入る水は流れ終わった.民はイェリコ(これから主なる神がイスラエルに与えようとされる都市の名)に向かう地点から川を渡った.

17 契約の櫃を運ぶ祭司たちは,ヨルダン川の中央の乾いたところにじっと足を止めた.イスラエルの民一同は乾いたところを渡りはじめ,民がすべてヨルダン川を渡りきるまで,祭司たちはそこを動かなかった.』

(注釈)

「ヨルダン川を渡る」

15. 大麦刈り入れのころ(三 (3),四 (4) 月),ニサンの月にヘルモン山の雪がとけてヨルダン川がよく氾濫(はんらん)した.

歴史を見ると大なだれがあってこの川の流れが止まったことや道を変えたことがあった.

一二六七 (1267) 年,一九二七 (1927) 年にもそういうことがあった.

神はそういう自然現象を利用されたのかもしれぬ.

・ 訳注 B -4 … ヨシュアの書:第4章

詩篇第73(74)篇 (日本語)

1. 『*アサフの歌.
神よ,なぜいつまでもわれらを見捨て,
あなたの牧場の羊に怒りを燃やされるのか.

2. 昔,あなたが買われた民を,
買いもどされた遺産の民を,
住まいと定められたこのシオンの山をかえりみ,

3. 限りなきこの廃墟に御足(おんあし)を向けたまえ.
敵は聖所のすべてを略奪し,

4. 集会のところでほえ,
自分のしるしをそこにかかげた.

5. それは深い森に,
おのを打ち下ろすに似ていた.

6. 突如,神殿を
まさかりと槌で打ち砕き,

7. 聖所に火をつけ,
み名の住まいを地まで汚(けが)し

8. 心のなかで,「一まとめにして滅ぼそう」と言いながら,
国内の礼拝所をみな焼き払った.

9. われらのしるしはもう見えず,
預言者ももういない.
* それがいつまで続くのか,われらのうちに知る者はない.

10. 神よ,仇はいつまで冒涜のことばを吐き,
敵はいつまでみ名をののしるのか.

11. なぜ,あなたは手を引き,
右の手をふところに隠されたのか.

12. だが,神は昔から私の王であり,
地の中で救いを行われ,

13. そのみ力で海を分け,
水の上の竜の頭を砕き,

14. *レビアタンの頭を割り,
*海の大魚のえさとし,

15. *泉とせせらぎを開き,
尽きざる水の川を干上がらせたもうた.

16. 昼も,夜も,あなたのものである.
月も太陽もあなたが備え,

17. 地の堺を定め,
夏と冬をつくられた.

18. 思いたまえ主よ,敵はあなたをののしり,
愚かなある民はみ名をのろった.

19. あなたの山ばとの命を,はげたかに渡さず,
あなたの小さな者の命を,いつまでも忘れ去らず,

20. 契約を思い出したまえ,秤(はかり)は満ち,
地の穴は暴力の住まいとなった.

21. しいたげられる者が,辱められたままもどらぬように,
貧しい者,不幸な者にみ名をたたえさせよ.

22. 神よ,立ってあなたへの訴えを守り,
日々あなたをののしる愚か者を記憶し,

23. 敵の叫びを,
たえまなく高まる仇の騒ぎを忘れたもうな.

(注釈)

神殿略奪後の嘆き

1. タルグムによると,22節の「愚か者」は神殿の門を焼き(マカバイ上4・38,同下1・8),聖所を汚し(同上1・23,39,同下6・5),狂気の王と呼ばれたアンティオコ・エピファネ王を指す.

しかしこの時はカルデア軍の神殿略奪を歌ったともとれる(歴王下25・9,イザヤ64・10).

このとき以来預言者は声をひそめた(9節).

9. エレミア(25・11,29・10)は七十年の流謫(るたく)を告げていた.

七十年とは長い年月をさす象徴的な数である.

14. 伝説的な海の怪魚(イザヤ27・1,ヨブ3・8).

* ここは紅海を渡ったこと(脱出14・30),エジプト人の敗北を語る.

15. 脱出(17・1-7)の奇跡を暗示する(ヨシュア3章).

19. ホゼアはイスラエルを雌バトにたとえた.

邦訳文及び訳注の校正を続けます.